生地の種類と特徴について
生地には大きく分けて、布帛(織生地)とニット(編み生地)があります。
▶︎布帛(ふはく)とは
織生地、つまりたて糸&よこ糸で織られた生地のことです。斜め方向(バイアス)には若干伸びますが、縦横には伸びません。カバンやポーチなど伸びると困るものには布帛が向いています。そもそも「洋裁」とは布帛を洋服に仕立てることを指していました。伸びない織生地を体に沿うデザインに仕立てるには切り替えやタックを入れたりファスナーを付けて着脱できるようにする必要があるため、実に様々な洋裁技術が発達しました。伸びない=型が崩れにくいという利点があります。
▶︎ニットとは
ニット素材の原点は「セーター」です。そのため、ニット=セーターと思っている方も多いのではないでしょうか。業界ではセーターと区別するためにカットソー(Cut&Sewing)と呼んでいますが、ハンドメイドを楽しむ方の間では「ニット生地」と呼ぶのが普通になってきましたよね。Tシャツやトレーナー、スウェットパンツなどのように伸縮性のある編み生地のことを指します。伸び縮みするので動きやすく、ファスナーをつけなくても頭からかぶれる服が作れる、体に沿うデザインの服もタック等入れずに作ることができる、などの利点があります。
ニット生地は1本の糸でループを作りながら編まれており、編み方(平編み、ゴム編みなど)によって性質の異なる生地になります。代表的なものをご紹介しますね。
天竺(てんじく)
表がセーター目、裏がガーター目。いわゆるメリヤス編み。伸縮率は小さく、布帛に一番近くデザインしやすい。大人向けのTシャツ等によく使用されている。表裏の編目が異なるため裁断すると表目が内側になる方向に生地端からまるまってくるため、裁断後はできるだけ早めに縫製した方がよい。
スムース
両面ともセーター目。天竺に比べ厚みがあり伸縮率も中程度。どちらも表目なので肌触りがソフト。
フライス
セーターのゴム編み。伸縮率が大きい。襟ぐりや袖口、裾などに汎用される。レギンス、スパッツなど体にフィットするものに適する。
編む糸の番手(太さ)によってもかなり印象の異なる生地になります。糸の番手はミシン糸(スパン糸30、60、90など)と同じように数字が大きくなるほど細くなるため、例えば30天竺より40天竺の方が薄手の生地ということになります。
このように糸を「織るか編むか」によって、布帛やニットという異なる生地になり、「糸が何か=綿、麻、ポリエステル、レーヨン・・・・」によってもまた性質の異なる生地になるので、生地の世界は無限大なのです!
街の生地屋さんに行くと本当に様々な生地があって、こんな生地であれを作ったら…と想像が止まらなくなりますよね。